第18回 GEKIの WHO’S WHO
今回は、1953年 『ローマの休日』のご紹介です。
今年が、2011年ですから、58年前のモノクロ作品いわゆるロマンティクコメディーの最高傑作に
挙げられる粋品でしょう。
監督 (ウイリアム・ワイラー)
主演男優 (グレゴリー・ペック)、当初は、ケイリー・グランドの予定でしたが、グランドが蹴った為
主演女優 (オードリー・へップバーン) 最初予定されていた監督(フランク・キャプラ)が高額な製作費を
要求した為、ヒロイン候補(エリザベス・テイラー)共々、降板、主役を自由にキャスティング
出来る事を条件に、ワイラーは監督を引き受け、当時無名のやせぽっち新人(オードリー)を大抜擢。
以後”胸のふくらみを過去の物にするであろう”(ワイルダー)の予言どうり、
歴史に残る大女優へと、 昇天して行くのである。
もう一人、忘れてならなのは脚本家(ダルトン・トランボ)、1950代初期、アメリカは、「赤狩り」と呼ばれる
共産主義者排訴運動真っ只中で、トランボもその一人だった為、友人の(イアン・ハンター)の名義で
クレジットアカデミー最優秀脚本賞を当時、(イアン・ハンター)が受賞、
アカデミー賞選考委員会は、1993年に、トランボへ最優秀脚本賞を進呈するも、本人が
亡くなっていた為、未亡人が、代わりに受賞。
運命の悪戯に、翻弄さえれしまったトランボが気の毒でしょうがない。
複雑な、バックボーンとは裏腹に、ワイラーとトランボは男女の出会いと別れという月並みなテーマを
スクリーンに映る全ての真実の積み上げと互いの細かい感情のやり取りから普遍的なお伽話にまで昇華させたのです。
原題の ”Roman Holiday”とはローマ帝国時代、一般の休日に奴隷の剣闘士を戦わせ市民が楽しんだ
事から「他人を苦しめ楽しむ」 「面白いスキャンダル」といった意味があり、この映画のストーリーとの
ダブル・ミーニングとなっているとする説がある。
あらすじ
ヨーロッパの某国の王女アンは、各国を表敬訪問中、最後の滞在国イタリアで過密スケジュルのため
ヒステリックになり鎮静剤を打たれ、アンの逃亡劇がはじまるのだが薬のせいで、睡魔が襲い
ベンチで横たわっていた所に、新聞記者のジョーが通りかかり、見かねてアパートまでつれてきてしまう。
翌朝、王女の大スクープをモノにしようと、職業を偽り、友人のカメラマン(アーヴィング)に写真を撮らせ、
永遠の都・ローマで自由と休日を活き活き満喫するアンとジョーの距離は、次第に近づいていくのですが・・・・
大好きなシーンが、2つあります。
一つ目は、アンとジョーがオープンカフェでシャンパンとアイスコーヒーを飲んでいる時、友人カメラマン、
アーヴィングが合流して素性を知らないアーヴィングと王女と判らせたくないジョーとの
やりとりは最高の演出である。
わざと、コーヒーを溢し、カフェの奥へ行き事情を説明し、アン王女がストローの紙を吹き飛ばして喜ぶ
チャーミングさをライター型のカメラで写す演出。
ライター型のカメラが、アン王女の記者会見のラストシーンに繋がります。
二つ目は、ラストの記者会見で準備していた原稿どうりではなく、ある記者の質問に
「一番印象に残った訪問国は?」に
アンは、「なんと言ってもローマです。」失踪していたのを隠す為、正式な発表は、病気としていた。
アンのこの発言が、アンとジョーそして私達観客までもを巻き込んでゆく
トライアングル・シナジー効果を生み出すシーン。
ただ、一人会場を後にするジョーの足音だけが響き、振り向いても其処には・・・・
一日限りの大人のお伽話のラストは、これでよかった???
他にも、べスパの二人乗り・真実の口・スペイン広場・ジェラート・・トレビの泉・パンテオン・
コロッセオ・テヴェレ川のダンスパーティー(ギターの王冠) など、など
機会があれば、吹き替え版それもテレビ版、1972年・1979年を御覧下さい。
アン王女(池田昌子)さん・ジョーは(城達也)さん・美容師マリオ(広川太一郎)さんおなじみの
声優さんたちの吹き替えをお楽しみください。
それでは、今回はこの辺で、GEKIでした。